愚者(ぐしゃ)
空を見上げて旅立つ若者が描かれています。
右手には知恵の棒を、左手には希望と純粋な魂を表す白いバラを持ち、足取り軽く踏み出しています。
しかしすぐ先の足元には危険が崖が迫っています。
その危険を教えるべく友だちである白い犬が後ろから鳴いて警告します。
若者は「愚か者」や「お馬鹿さん」という意味の愚者です。
0番が表すとおり、まだ何も持っておらず経験もない、純白の青年なのです。
空を見上げているのは、まだ見ぬ世界や未来を思い描いているためです。
希望にあふれロマンを求める夢追い人は、彼方のユートピアを目指しています。
「天才と馬鹿は紙一重」というのは愚者のためにあるような言葉です。
彼は非凡な才能の持ち主で、誰も思いつかないような奇想天外な行動や考え方をします。
夢中になるあまり足元の崖のように世間が見えず「変わり者」と言われます。楽観的なのも時には大事です。
しかし楽観視ばかりしていると時にそれが仇となります。
このカードはそんな自由の良しあしを教えてくれています。
愚者の正位置のキーワード
自由、型にはまらない、無邪気、純粋、天真爛漫、可能性、発想力、天才
愚者の逆位置のキーワード
軽率、わがまま、落ちこぼれ、ネガティブ、イライラ、焦り、意気消沈、注意欠陥多動性
愚者の正位置の意味
愚者は荷物も少なく誰にも縛られない自由な人です。
背中の太陽が神の祝福を表し、彼の旅立ちを後押ししています。
ウェイト版やライダー版では洋服の柄が花の模様で描かれていますが、これは才能の開花を意味しているとされます。
愚者の正位置は「自由」「ビギナー」「ゼロの状態」「非凡」「流浪」というキーワードが浮かび上がります。
型にはまらず常識にとらわれない自由さ、未知なる可能性、まだ計画されていない等と読む事が出来ます。
【愚者の正位置】恋愛・対人関係の解釈
愚者はフリースタイルなので、決まった形がありません。
愚者の正位置の恋愛・対人関係の意味は「束縛されない自由な関係」と取れます。
付き合っているのかいないのかはっきりしない感じで、ちょっと変わった相手と言えます。
友だち感覚で、友だち以上恋人未満の時にもこのカードが出ます。
人間関係でも「どこにでもいるような普通の人ではない」人物です。
能動的で自分で行動するような人なので規則には縛られません。
ただ見ていると面白く興味があるので、理由はないけれどフィーリングが合うので付き合っているような感覚です。
【愚者の正位置】結婚の解釈
結婚は恋愛とは違い社会的責任を負うものです。
その責任にばかり縛られず自由に結婚生活を楽しめます。
愚者の正位置の結婚の解釈は世間からは変わっていると言われても、自分たちにとって心地良い生活の仕方を追及して納得して暮らせそうです。
また将来の夢を叶えるために結婚を前向きに捉えられます。
結婚を心配するよりも「やってみないと分からない」というように、未来へ進むために良い手段として考えていけます。
良い意味ばかりに見えますが、自由が過ぎれば無責任という意味にもなってきます。
結婚相手として向いているかどうかを見る場合は、正位置では「ほど遠い相手」と捉えることもあります。
そのくらい自由で遊んでいたいというわけです。
【愚者の正位置】仕事の解釈
愚者の正位置の仕事の意味は、この自由を愛する性格を生かして「フリーに転身」したり「会社に縛られない仕事」を表します。
旅をしていることから「転職」や「離職」も表します。
旅自体が仕事に生かされ「全国を回る仕事」という意味もあります。
非凡な才能を生かして「発明家」や「芸術職」が向いています。アイデア勝負の仕事です。
企画や芸能関係も才能を生かす良い職業です。
単純にフリーターという選択肢もあります。そのようなスタイルが向いているようです。
ただ「その日その日の仕事」という意味もありますので、日雇いの不安定な仕事も考えられます。
運気としては自由に考えても良いですが不安定でまだ決まらなそうです。
【愚者の正位置】金運の解釈
愚者の正位置の金運の意味は、自由な考え方から貯金などとは無縁で無計画な金銭感覚です。
金運で言うならば貯蓄運はなく、その日その時だけの上がり下がりに左右されるので、一時的に運が上昇しても続かないでしょう。
楽観的で夢見がちなので投資に使ってしまうかもしれません。
長く安定させるならば、もっと計画性が必要です。
このタイミングで新しく貯蓄を始めたり運用して増やすような計画をするのは良い方法です。
文字通り「0」になってしまわないよう管理しましょう。
愚者の逆位置の意味
旅の途中で出会う危険の可能性を考えず軽装で旅立っていることから、いいかげんであったり無計画な人間性が伺えます。
また友だちである白い犬の警告を無視して危険な行いを行っているため、愚者の逆位置は「無計画」「いい加減」「無頓着」「無知」「無責任」といったキーワードがつけられます。
「無」がたくさん付いていますが、良くも悪くも彼はあくまでゼロなのです。
また「自分の愚かさに気付く」「旅をやめてやっと落ち着く」といった意味にもなります。
【愚者の逆位置】恋愛・対人関係の解釈
愚者の逆位置の解釈は、この縛りのなさを「遊びの恋愛」と取ることが出来ます。
愚者特有の「適当でいい加減」という部分です。
若者であることから「子供っぽく無責任」になりがちで、相手を不安にします。
「型にはまらない」というのは「相手を一人に決めない」ということにもつながります。
不安のあるお付き合いになりそうです。
恋愛でない関係であっても、無責任で信用できない相手と考えられます。
その場限りの意見を言っている可能性もあります。
約束をしても意味がなく、何でも飽きやすい人です。
【愚者の逆位置】結婚の解釈
愚者の逆位置の解釈は結婚生活自体が着地点と考え、「地に足が付く」「その場に納まる」と考えます。
愚者は常に空を見上げて歩いていますので、止まることがありません。
逆位置はこの歩みが止まることを意味します。
正位置では旅をして不安定な状態であったのに対し、逆位置ではその反対の「安定」を表します。
移動しなくなり落ち着きますので、この結婚を通して「今まで地に足が付いていなかったことに気付いた」のです。
自由だった相手はこの結婚を通して平凡な人に変わるようです。
【愚者の逆位置】仕事の解釈
愚者の逆位置の仕事の解釈は、自由が過ぎて「職を転々とする」姿や「無職」を表します。
不安定な職業に向いていないので無難な道を選んだ方が良いでしょう。
また自分を生かす道を選ぶ勇気もなく、何をしたら良いか分からない状態です。
己の無知に気付いて地に足を付けた生活を選ぶことになりそうです。
正位置ほど能動的ではないので同じフリーターの道でも「これが好きで選んでいる」というより「お勤めが向いていないから仕方なくやっている」といったマイナス思考が見て取れます。
経験のないことはチャレンジできないようです。
【愚者の逆位置】金運の解釈
愚者の逆位置の金運は、経験を通してお金に対する考え方が定まるイメージです。
今まで無駄遣いばかりしていたと気付いたなら、反省して地に足が付くよう行動できるでしょう。
運気としては良くも悪くなく無難なところで安定します。
まだ増やしたり自由に使う時期ではないので、せめて成り行きで使ってしまわないよう管理をしましょう。
非現実的な使い方や運用の仕方はやめておきましょう。